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 阪急電車 ★★★☆☆ 16:14

 キャストの人生の「点」と「点」が阪急今津線で「線」になり、列車が宝塚〜西宮北口を往復することで「円」になる…てな映画。今週末から全国公開だけど、関西テレビ読売テレビで、やたらと番宣してて力を入れてるようで興味もあったし、23日から関西で先行公開されたんで久々に映画館で観てきた。ちゃりんこでも通えた劇場が次々閉鎖されて、30分も掛けて…。この日記を調べてみたら、実に地元で観たのは7年ぶりだった^^;
 ※ややネタバレあり
 要はオムニバス、群像劇だけど、伏線提起⇒物語解決って単純にそうでもなかったかな。スポットでも流れてる中谷美紀の破談が冒頭のシーンで、そこからメインキャストの紹介ブロック。このアバンが長い長い(笑) そんなに大勢出すかい?ってぐらい。まあ、主人公を3人か4人にして大きな軸を据えずに、細かくエピソードを散らす事で路線の駅を巧く使ってた感じだったかな。
 本編に入ってからは、登場人物の切り替えと、時間と空間的な「間」の取り方、現実と回想の行き来、撮影手法に注目してた。もちろん、ストーリーも飲み込んでたけど、半分以上、仕事の目線から見ちゃうので(笑)
 映倫クレジット前までのアバンは、ワイプ繋ぎで人物を切り換えて分かり易くしてあったけど、さすがに本編で頻繁には使えない。というか使うと、まどろっこしい。運転手目線、ホーム乗降、景色、列車で切り換えてキレイに観れた。個人個人が過去を振り返る時は白飛ばし。テレビでも、よくやる方法。ただ、日数的な過去に帰る時はその方法を使って、当日の時間的な過去に戻る時はただのカットバック。これが前半に多くて、ボーっと見てると着いてこれるのか若干疑問ではあった。
 やや強引に感じたのは、往路と復路を入れ替える季節を飛ばす繋ぎ。3カット連続で列車を走らせて、タイト目の景色で季節感を出してた。まあ、いいんだけど、もうちょっと出番の少ない人も絡めて欲しかったかな。
 何度も撮り直すから似たようなカットがあるのは仕方ないけど、中谷美紀が通勤の人波の中を歩くシーンで、同じエキストラの男性が脇をすり抜けるカットが違うサイズで2回入ってた。OKテイクがそれしか無かったんだろうけど、割と特徴のある顔付きなんで覚えてた。重ねなければ気付かないけど、2カット続けば、そりゃバレますわな…。
 59本の臨時列車を走らせてホームや乗降シーンを撮ってたのは事前に知ってたけど、車内の会話シーンでは、やっぱり車庫で撮影したであろうところに気付いた。どうにも車窓の動きと車内の明るさに変化を感じたカットが3つ4つあったかな? 光線の関係でホワイトが飛んでる場所はごまかしが利かない。でも、そういう会話シーンを入れざるを得ないから仕方ないかとも思いつつ。でも、サスペンスでやるような合成じゃないから、ふつーに見てたら多分気が付かない。
 車内での人物切り替えは、実に自然。下手な「偶然ばったり感」はしない。最大で絡み合うのは3組まで。これ以上、人生が交差すると、さすがにややこしくて敵わないけど^^; しっかし、まあ、その物語が交差する場面で必ずデカい声で喋りまくる似非セレブのオバチャン達が出てくるけど、これがまた酷い酷い(爆) 関西人なら一度はどっかで見た事あるから分かるんだけど、これ、全国で出したらますます関西のイメージ悪くなるんでないの? 終盤で反省するのかと思いきや、居直って何も変わらないし(笑)
 ああ、そういや、そのオバチャンの中にいる南果歩が、隣の車両?にいる宮本信子芦田愛菜を見る1カット目だけ、少し違和感があったな。あの遠目の老婆だけ、別人だったような? 後から撮り足した?
 関西民放2局の協賛らしく、もちろんアナウンサーも登場する。仲良くYTVから二人、KTVから二人。結婚式場の司会という予想された役柄はいいとして、式場職員とスーパー店員は必要だったのか?(笑) まあ、ベタに「役者が見るテレビ画面の中のニュースキャスター」よりはマシなのか。
 エンドクレジットでその4人は誰でも分かるんだけど、もう一人、YTVアナが終盤のホーム下車のシーンで、主人公の後ろにほんの一瞬映った気がする。ピントが合う前にカットが変わるんで分かりにくいけど、あの髪型、あの背格好は三浦♂アナだと思うんだけどなぁ。何かの番組から、正式オファー以外のエキストラ扱いだったのかね?


 物語としては、軍ヲタと野ヲタの大学生2人が良かったなぁ。私は大学には行ってないのがコンプレックスになってる。それと地方在住って事も。もう興味は無くなってしまったけど、高校時代に思想論とかアイザック・アシモフやS.W.ホーキング氏の宇宙本を読んでたせいもあって、言動や思考が周りと違ってて、オタク扱いされてたのも起因する。専門学校に進んだ頃に感じてた思いと、この2人の感情が被るところがあって、とても共感した。
 ただ、一箇所だけセリフを聞き損ねたんだよなぁ…たぶん、A-10爆撃機であろうVFX(※浮いてない?)が出る前後の谷村美月のセリフを。「○○がいないから」だったと思うけど、何だったんだろ?(。。 まさか、その言葉と爆撃機は関係ないと思うんだけど。


 全編通して観ると、それぞれの悩みや選択に一定の解決を見出して解決していくんだけど、宮本信子の役柄だけ何が悩みで、どう解決されたのか分からないまま。芦田愛菜の母親?家族?との何かは感じたけど、そこに関する追加エピソードは出てこない。語り部というか聞き役というか、そういう位置付けだったけど、何か処理して欲しかったな。それとオープニングの女狐の印象と、式場で嫌味な一言を♀アナに託して、完全な悪者で終わってしまう安めぐみも、あれだけでいいの?^^;


 「美人ほど損をする」ってのも、比較対照が出てこないんでピンと来なかったなぁ…オチ役(単純に美人じゃない人w)が一人もいないのがいけないか? それと登場人物が多すぎて、名前を覚えきれないのもあったかな。中谷美紀と少女Aが「同じ漢字の名前」とか、絶対見てる人、誰も気付かないって! パンフで初めて分かったぐらいだし。…というか、少女Aって、ちゃんと紹介されてなかった気がする。
 ただ、見た人の誰しもが、登場人物の誰かの人生に共感する作りになってるとは思う。あと阪急今津線の沿線住民と、あの周辺路線に乗る人たちにとっては、ふんだんに知ってる所が出てくるから、楽しめる作品ではあるかな。これが全国でどう受け入れられるか、だな。
 個人的には、一度も乗った事がないと思ってたけど、梅田方面から乗り換えて西宮北口は記憶にあった。終点の宝塚までは行ってないけど、仁川駅は知ってた。劇中では一切触れられないけど、仁川駅阪神競馬場の最寄り駅だったから。でも、車内に競馬新聞持ってた人がいたかどうか、さすがにそこまで見てなかったなぁ…悔しい(笑)
 それと、これは役者全員(※関西人以外)にいえるけど、やっぱ無理な関西弁はキツいな!(爆) 方言指導とか入ってたけど、イントネーションは真似して簡単にできるもんじゃないね^^;
<鑑賞データ> ジストシネマ和歌山:10:30の回 客の入り:3割