台湾・李登輝元総統 来日で・・・
新聞やテレビのニュースでご存じの方も多いと思うが、日中間を騒がせた当人、台湾の李登輝元総統が明日午後に来日、大阪入りする。
夕方、関空に降り立ち大阪市内のホテルへ移動するわけだが、当然日本国内の全マスコミはもちろん、世界各国、とりわけアジアの目が渦中の人に注がれることになるのは間違いない。その下準備や根回しの為に、今日午後、李氏の側近中の側近・彭栄次(ホウ・エイジ)氏が前乗りしている。(迷惑なんは、月曜の「自由行動」とかいう日程だ。ホンマ、修学旅行と違うっちゅうねん!!)
さて、一連の取材のため台湾から民放各社がこぞって日本入りしているが、そんな中東京キー局経由の制作協力で、私の職場に【東森放送(向こうではイーストフォレストテレビというらしい。それを聞いて、職場全員で一斉に「そのままやんけっ!」と突っ込んでいた(笑)】のクルーが2名やってきて、現地用のニュース素材を追い込みで編集していた。
しかし、物理的に局にやってきた時間とニュース素材を東京経由で台湾に伝送する時間とが肉迫していたため、予想以上の超追い込みとなり、何とかキャスターのコメント部分は編集することはできたものの、その部分を別の映像で埋めることが出来なくて、彼らの本社に丸投げする格好になっていた。
(一般に、こういうVTRのことを「記者リポートもの」といい、生で放送している様に見えるが、実はすべて編集マンが映像や音声を切り貼りして仕上げたものである)
さあ、デスクもカメラマンも編集マンも、興味津々(^-^; いつも以上にギャラリーが群がっていた。おそらく「カメラマンはどんな映像を撮っているのか?」「編集マンはディレクターとどんな風にコミュニケーションをとって、編集作業を行うのか?」「海外メディアのニュース作りはどうやっているのか?」という、心に湧いた素朴な疑問から出た行動だと思うが、残念ながら、期待はずれに終わってしまった。
結果として、我々編集マンの立場からすると、それは屈辱的と言える。たとえ、どんなに時間がなくても、そのニュースがどんなに荒いデキになったとしても、自分が担当したVTRをその時間にきっちりオン・エアー出来ないと「編集マン失格」という烙印を押されてしまう。もう次からは、似たような状況下の編集を二度と任せてもらえなくなってしまうからだ。
李氏が日本に滞在している間、これが繰り返されるかと思うと、先が思いやられる。といっても、言葉の壁があり我々が手を出すことも出来ず、何とも歯がゆい感じがする。あの場にいた編集マンの誰もが、バタバタしている向こうさんを押しのけて、要求通りのVTRをバシッと仕上げて「どうや?!」って顔でディレクターに突きつけてやりたいと思ったに違いないと私は信じたい。
それにしても、さすがなのは上海帰りのカメラデスク。流暢な広東語で見事にコーディネイトしていた。ああいう特技も持っている人は、いつも羨ましく思う。