kaichosanの日記

97~07年まで元Zaurusユーザーだった、フリーランスで流浪してる映像編集マンの雑多な日記です

 「動機」なき、無差別大量殺人に判決

死刑か、無期懲役か、それとも無罪か。

 懲役刑は絶対ない。判決は、このいずれかで決まると思っていたが、結局、和歌山地裁は6時間近くかけて「死刑」判決を言い渡した。もちろん、被告人は、犯罪史上他に類を見ない、無差別大量殺人のヒ素混入カレー事件」で、殺人罪に問われた林真須美である。
 この事件は、僕の地元の街で起きた。当時、僕は地方大会の仕事で滋賀県に2週間出張していた。その最中の出来事だった。あの夏祭りが行われた会場の、すぐ隣の町には、高校時代の友人が今もまだ数多く住んでいる。あの時は、震災以来、我を忘れて、友人達に電話をかけまくったのを覚えている・・・。
 98年の暮れ。真須美被告が逮捕される日、仕事柄、事前にXデーとして「その日」は極秘で通達されていて、当時スポーツの仕事を担当してた僕でさえ、着手の日時を知っていた。もちろん、地域住民は前日から膨れあがる取材陣を見て、その日が近い事を知っていただろうけど。でも、僕はきっとあの日の事を忘れない。「動機」なき、無差別大量殺人・・・そんな事件を起こした人間が自分の誕生日の朝に逮捕されたんだから・・・。
 今日、前回の公判で判決の日取を知った僕は、早くから休みを取った。皆に申し訳ないと思いながら、中継スタッフの近くから裁判所を見に行った。傍聴券を求めて並ぶ列を見た。それを取材する無数のヘリが旋回する中、空虚な爆音に耳を傾けた。この音を被告はどう思って聞いていたんだろうかと…。園部も覗いてみた。地域の人々に、本当の意味で安息の時は訪れないと思いながら…。
 真須美被告の弁護団は、即日、大阪高裁に控訴した。今度はどんな判断が下るんだろう。たとえ死刑になっても被害者が戻ってくる事はなく、遺族にとっては、また辛く長い長い傍聴の時間が、無意味に過ぎていくんだろうか?
 ますますもって日本の『司法制度の未熟さ』を、痛感せずにはいられない。